【悠游字的】もう戻れない時間

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悠游字的
過ぎ去りゆく時間に身を任せる @georgek5555 です。



今日は戻れない時間への想いの話

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戻れない時間への気持ち

普段生活している徒歩圏内には色々なご飯やさんがある。

幸いにして近所には数は少ないとはいえ美味しいお店がいくつかある。

その中でも一番家の近くの横浜家系のラーメン屋さんがつぶれた。



今のところに引っ越してきてまだ数ヶ月だが、

初めて見つけた時は美味しいかどうか疑問符がある佇まいだった。



そもそも家系ラーメンは本当に店によって美味しいとそうでもないに分かれるのもあって

わざわざ足を運ぶにはそれなりの気分が必要で

僕はそこののれんをくぐるのに少々を時間を要した。



初めて入ったのはランチタイムのピークを過ぎた頃だっただろうか。

家系独特の『ライス無料』が、お腹をすかしていたその日の僕にはずいぶん魅力的だった。

店内は1人の若い店員さんが切り盛りしてて、いらっしゃいませの声はそんなに張りがあったあわけではないが、感じも悪くなく、食券機で店の一番オススメであろうラーメンを買った。

家系ならではの『麺の硬さ・油の量・味の濃さ』を指定して、少し待ったあたりで、ごはんとともに僕の目の前にそれはきた。



チャーシュー・ほうれん草・海苔・味玉という王道のトッピングに、家系ならではの平打ち麺。

スープを飲んで僕は一瞬で思った。

『美味しい』

それからは夢中だった。

止まらぬ箸、矢継ぎ早に口に注がれる濃厚なスープ、卓上にならんだごまをふりかけては更に黒胡椒も舞った。

ごはんとスープの相性はとてつもなくすばらしく、気づけば僕は完食していた。

家系というには少し他の家系とは違った。

九州の久留米系のような濃厚なスープ。

恐らくは豚骨の仕込みにはかなり時間と手間をかけたことが伺える味。

こんな美味しい店が近くにあったのかと感動すら覚えた。



僕はそれから数回お店に通った。

後になってわかったことは、初めて行った時にいた若い店員さんは、どうやら店長のようで、独りで店を切り盛りしたいたこと。

どんなお客さんにも笑顔を忘れず、気遣いも忘れず、店の清潔感を常に保つようにしていたこと。

そして、ランチタイムと夕方の間の休憩時間に時折何かしらの業者が訪れていたこと・・・

雪の降る夜

あれは都内で観測史上最大ともいえるほどの大雪に見舞われた夜だった。

僕は近所のコンビニに行き、自宅に帰っている途中そのラーメン屋の前を通りかかった。

いくつものお店が臨時休業の看板を掲げるなか、そのお店の軒先にはいつものように灯りがともっていた。

そして、店の前には店を切り盛りする彼が通りを行き交う人に何かサービス券のようなものを配っていた。

こんな雪の日にも開けたのだから、せめて1人でも多くのお客さんに来てもらおう、そんな感じだと僕は思っていた。

その日はラーメンという気分でも無かった僕はサービス券などもらわなくてもまた必ず行くと心のなかでエールを送りながら、彼からその気持ちを受け取らずにその日は家路についた。



しかし、それが彼を見た最後だった。



数日後ラーメンを食べたくなり、彼の店に行ったがそこには営業中の看板は無かった。

寒い時期だ。もしかしたら体調を崩しているのかもしれない、そう思った。

しかし、数日経っても一向に店が空く気配がない。

そして今もまだ店はあの日のままだ。



どうして僕はあの日店に行かなかったのだろうか。

もしその1杯の売上で何かが変わったのなら・・・そう思うと今でも胸が締め付けられる。

例えば僕が毎日通ったところでも結果は変わらなかったのかもしれない。

けれど、あの愛おしいと思ったラーメンにはもう二度と出会えないのだ。

食べたいと思えば食べられる、そう思っていた存在が、もうそこにはいない。

過ぎ去った時間はもう戻らないんだ。

僕は今日も、目の前を通り過ぎて行く1秒1秒を大切に思わないまま過ごしているのだろう。

全ては通りすぎてから大切だと気づく。

本当に大切なモノはいつもそうだ。

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